2月11日は、建国記念の日で祝日です。
とサラッと書きましたが、実はついさっきまで「建国記念日」だと思っていました。
正しくは、「建国記念の日」と”の”が入ります。
ですが、実際には「建国記念日」と耳にすることの方が多いですよね。
どうして、「建国記念の日」と”の”が入るのか、意味や由来についてお伝えしていきます。
建国記念日の意味
日本の祝日は、「国民の祝日に関する法律(祝日法)」に祝日として祝う趣旨が定められています。
2000年から成人の日など、一部の祝日を月曜日とするハッピーマンデー制度が導入されましたが、建国記念の日は2月11日と固定の祝日です。
2019年2月11日は月曜日ですので2月9~11日と三連休になる方も多いですね。
ハッピーマンデー制度の対象とならなかったのは、2月11日という日に意味があるからなのですが、その由来こそが「建国記念の日」とわざわざ”の”が入った原因にもなっています。
詳しく見ていきましょう。
建国記念の日の由来
「建国記念の日」が2月11日に定められたのは、建国神話で初代の天皇と伝わる神武天皇の即位日にあたるためです。
日本書紀や古事記で伝えられる神武天皇の即位日は、紀元前660年の1月1日。この日付を新暦に改めた日付が2月11日なのです。
戦前においては、2月11日は明治政府が1873年(明治6年)定めた「紀元節」という祭日でした。
ですが、2月11日が「建国記念の日」として再び祝日となったのは1967年からです。
実は、第二次世界大戦の敗戦を経て、主権在民国家となった日本には「紀元節」はふさわしくないというGHQの意向のもと、1948年(昭和23年)に「紀元節」は廃止されます。
つまり1948年から1966年までの間、2月11日は平日だったということですね。
こうした神武天皇の即位日という由来と、1948年に民主主義国家にふさわしくないと廃止になったという経緯が、「建国記念の日」と、”の”が入ることになった大きな原因だったのです。
復活までの紆余曲折
1948年(昭和23年)に廃止になった紀元節ですが、廃止から早くも3年後の1951年(昭和26年)には復活させようという動きが出てきました。
ところが、祝日法の改正が国会を通って、「建国記念の日」が定められたのは1966年(昭和41年)です。(実際に祝日になったのは1967年(昭和42年)から)
1957年(昭和32年)に、「建国記念日」制定に関する法案が最初に提出されるのですが、9回も国会に提出されては廃案になるということを繰り返したのです。
- 「紀元節」の復活に戦前への回顧につながるという野党の反対
- 歴史学的に存在があやふやな神武天皇の即位日を「記念日」と定められないという学者の意見
が、すんなりと可決されなかった理由です。
また、建国記念日という祝日を作ることは賛成でも、
- 日本国憲法施行日の5月3日
- サンフランシスコ講和条約発効の4月28日
- 聖徳太子の十七条の憲法が制定されたという4月3日
など、「紀元節」以外の日が良いという意見も多かったのです。
法案可決の決め手が「建国記念の日」の”の”だった
実に9回もの法案提出・廃案を繰り返した2月11日を建国の祝日とする法案がようやく通った決め手が、「建国記念の日」と”の”を入れることでした。
「記念日」には、歴史的事実がその日にあったことが明確であるという意味があります。
そこで、2月11日に建国されたことを記念するのではなく、建国という事象を記念するための祝日という解釈が生み出され、「建国記念の日」と”の”が差し込まれたのです。
この解釈のおかげで、ようやく野党も合意を示し、1967年(昭和42年)から2月11日は再び祝日となったのでした。
世界各国の建国記念日
「建国」を記念する日を祝日にしている国は、世界でも百数十か国に上ります。
ただ、「建国」の日付の定義は国によってまちまち。
最も多いのは、植民地支配から独立した独立記念日を建国記念日としている国です。
- 代表的なのは、
- アメリカ合衆国の独立記念日(7月4日)
- インドの独立記念日(8月15日)
- アルゼンチンの独立記念日(7月9日)
など。
次に多いのは共和国創立記念日や革命記念日など。政治の体制が変わった日を建国記念日としている国です。
- 代表的なのは、
- フランスのパリ祭(7月1日)
- イタリアの共和国記念日(6月2日)
- エジプトの革命記念日(7月23日)
など。
この他には、
- 1990年に東西ドイツが再統一された10月3日を記念するドイツ統一の日
- 1788年に最初の移民が上陸した1月26日を記念するオーストラリアの日
といった歴史のうねりを感じさせる記念日もあります。
古代の建国神話に基づく日を建国記念日としている国は、日本の他には、もう1か国。お隣の韓国の開天節(10月3日)というのがあります。
まとめ
2月11日は、「建国記念の日」として、1966年に国民の祝日に定められ、1967年から祝日となりました。
2月11日は、建国神話で初代の神武天皇が即位した日と伝えられている日です。
1948年(昭和23年)にGHQの意向で廃止されるまでは、1867年(明治6年)に明治政府が定めた紀元節という祭日でした。
再び2月11日を祝日にしようとして、1957年に最初の法案が提出されますが、次のような反対が多く、1966年まで可決されませんでした。
- 「紀元節」の復活に戦前への回顧につながるという野党の反対
- 歴史学的に存在があやふやな神武天皇の即位日を「記念日」と定められないという学者の意見
そこで、建国されたことを記念するのではなく建国という事象を記念するための祝日であるという解釈が生み出され、「建国記念の日」と”の”が差し込まれます。
この解釈のおかげで、ようやく与野党が合意し、1966年に法案可決、1967年から2月11日は再び祝日となったのでした。