うれしい春の大型連休、ゴールデンウイークの前半の祝日である昭和の日。
実は、昭和の日は過去3回名称が変わった祝日なのです。最後に変わったのは、2007年(平成19年)のことで、みどりの日から昭和の日に変わりました。
現在、日本の祝日は16日あり、ほかにも名称が変わった祝日がないわけではありませんが、3回も変わったのは昭和の日だけです。
そこで本日は、なぜ昭和の日が3回も名前が変わったのか、その意味や由来とあわせてお伝えしてきます。
昭和の日の意味
日本の祝日は、「国民の祝日に関する法律(祝日法)」に祝日として祝う趣旨が定められています。
初めての元号は、「大化の改新」で有名な”大化”です。以降、現在の平成まで綿々と続く元号の中で、昭和は最も長く続いた元号。
そして63年の歴史には、第二次世界大戦の敗北による困窮、戦後の高度成長期を経て世界の経済大国に成長するという大変動がありました。
昭和の日は、まさしく激動の時代だった昭和に思いをはせて、平和と繁栄の継続への決意を新たにする日なのです。
2000年から成人の日など、一部の祝日を月曜日とするハッピーマンデー制度が導入されましたが、昭和の日は4月29日と固定の祝日です。
2019年4月29日は月曜日です。土日と続く3連休ですねと言いたいところですが、2019年は天皇の退位・即位に伴って5月1日が祝日となるため、4月27日から5月6日までの10連休が出現します。
ハッピーマンデー制度の対象とならなかったのは、4月29日という日に意味があるからなのですが、その由来こそが「昭和の日」が3回も名称が変わったことと深い関りがあります。
詳しく見ていきましょう。
昭和の日の由来
昭和の日は、昭和天皇の誕生日です。
ということは、昭和の時代には4月29日は天皇誕生日の祝日だったということですね。
1989年(昭和64年)1月7日に昭和天皇が崩御されると同時に4月29日は天皇誕生日ではなくなります。ですが、ゴールデンウイークの一端を担う祝日ということもあったのでしょう、1989年同年から「みどりの日」の祝日になりました。
そして、昭和の日に変わったのは2007年(平成19年)からです。
天皇誕生日→みどりの日→昭和の日なら2回しか名前が変わっていないと思うところですが、天皇誕生日は戦前までは「天長節」という祭日だったのです。
天長節から昭和の日までの変遷を整理すると、次のようになります。
名称 | 該当期間 |
天長節 | 1927年(昭和2年)~1948年(昭和23年) |
天皇誕生日 | 1949年(昭和24年)~1988年(昭和63年) |
みどりの日 | 1989年(平成元年)~2006年(平成18年) |
昭和の日 | 2007年(平成19年)~ |
3回も名前が変わっていった背景には何があったのか、続いて見ていきましょう。
天長節から天皇誕生日へ
4月29日は、1948年(昭和23年)までは天長節の祭日、1949年(昭和24年)からは天皇誕生日の祝日でした。
現在の祝日を定めているのは、祝日法こと「国民の祝日に関する法律」です。
祝日法が制定されたのは、1948年(昭和23年)。それ以前(戦前)に休日(祭日)について定めていたのは「休日ニ関スル件」という勅令でした。
天長節は、「休日ニ関スル件」で定められていた天皇誕生日を祝う祭日で、国民の休日とされていた日です。
つまり、天長節から天皇誕生日に呼び名が変わっただけで、実質的な意味は今上天皇の誕生日を祝う日に変わりはありませんでした。
天皇誕生日からみどりの日へ
1989年(昭和64年)1月7日に昭和天皇が崩御され、翌日から元号は平成に変わりました。
同時に、今上天皇は平成天皇となりますので、1989年(平成元年)の天皇誕生日は4月29日ではなく12月23日に変更となりました。
戦前までは、先の天皇の崩御日は先帝祭という祭日でしたが、祝日法に先帝祭という祝日は存在しません。
昭和天皇が崩御されると、祝日からは昭和天皇にまつわる日にちは消えるはずだったのですが、崩御された1989年(平成元年)から4月29日は「みどりの日」という祝日に変わります。
ゴールデンウイークを形成する祝日で、祝日でなくなるのは国民生活・経済への影響が大きいという判断もあったのでしょう。
さらには、昭和天皇が崩御された直後から、先帝祭を復活させるのは無理にしても、昭和天皇の誕生日を昭和にちなんだ祝日にしようと考える人が多かったのです。
ただ、国民がかつてない辛酸も繁栄も同時に味わった昭和という時代の特異性から、崩御後すぐに「昭和の日」を実現するのは困難でした。
そこで、ワンクッション置くために登場したのが「みどりの日」です。
「みどりの日」に決まった背景には、
- 昭和天皇ご自身が生物学者で、植物に造詣が深かったこと
- 「全国植樹祭」には毎年必ずご臨席されていたこと
ということもあったようです。
時候的にも新緑の季節ですし、”自然に感謝する”という趣旨にもかなった名称ですよね。
みどりの日から昭和の日へ
昭和天皇の崩御後、4月29日は「みどりの日」の祝日でしたが、2007年(平成19年)から「昭和の日」に変わり、現在に至っています。
1989年の昭和天皇崩御の直後からあった、昭和天皇の誕生日を昭和にちなんだ祝日にという声の実現までに20年近くを要したということが分かりますね。
戦後復興を果たし世界有数の経済大国になったという輝かしい一面と、戦争の苦しみとはらった犠牲の大きさという負の一面をあわせ持つ昭和という時代を振り返るために、20年は必要な時間だったのでしょう。
また、国会で2回廃案になるという政治的な不手際もありました。
特に、2000年(平成12年)最初の国会提出時に、当時の首相から「天皇を中心とする神の国であるということを国民にしっかりと承知していただく」という発言が飛び出し、廃案になったことは尾を引いたといえます。
2002年(平成14年)に再度国会に提出されましたが、衆議院の解散があり再び廃案。
2004年(平成16年)の再提出をへて2005年(平成17年)にようやく可決。
祝日法が改正され2007年(平成19年)から、4月29日は「昭和の日」の祝日になりました。
まとめ
毎年4月29日は、「昭和の日」の祝日です。
2007年(平成19年)に「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。」ために制定されました。
もともと4月29日は、昭和天皇の誕生日です。
1988年(昭和63年)までは天皇誕生日の祝日でした。
1989年(昭和64年)1月7日に昭和天皇が崩御し、4月29日は天皇誕生日ではなくなります。
ですが、1989年(平成元年)から4月29日は「みどりの日」の祝日になります。
ゴールデンウイークを形成する日程でもあり、祝日でなくなると国民生活や経済への影響が大きいということもありましたが、昭和にちなんだ祝日にしようという動きが昭和天皇崩御の直後からあったためです。
ただ、昭和という時代には、戦争によるかつてない辛酸と、高度経済成長の繁栄が同居しています。
「昭和の日」が制定されたのは2007年(平成19年)と、実に20年近くの歳月が必要でした。
いずれにしても、現在、4月29日は、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」祝日です。
どんな凄まじい経済発展があったにせよ、二度と”戦後の復興”を遂げなくてよいよう平和こそ大事にしたいものです。