大雪(たいせつ)は、二十四節気という太陽の動きをもとにした季節の区分の一つで、黄経255度を太陽が通過する日が大雪の日です。
現在の暦(新暦=グレゴリオ暦)では、12月7日頃から12月21日頃までの約15日が大雪の時期です。
江戸時代まで使われていた旧暦(太陽太陰暦)では、11月・子の月の正節(月の前半という意味)のためが十一月節大雪とも称しました。
大雪の季節
大雪(たいせつ)は、立冬から始まった冬の3番目の二十四節気です。
大雪とは、山もすっかり雪におおわれている状況を表した言葉です。
平野部でも冷たい北風が吹き、冬将軍の到来を天気予報が告げる時期です。
寒さと比例するように、街は年末に向けて華やぎを増していきます。
豪雪地帯では数メートルにも及ぶ積雪があるなど、雪は冷たく煩わしい存在である一方で、純白の雪景色は日本の美意識を育んできました。
七十二候
二十四節気は、それぞれが約15日間ありますが、二十四節気をさらに3等分した七十二候という季節の区分があります。
大雪には、次の七十二候が含まれます。
大雪 初候 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)
12月7日頃から12月11日頃まで。
空には灰色の雲が低く垂れこむようになり、まるで天地の気を封じ込めるような冬の訪れです。
大雪 次候 熊蟄穴(くまあなにこもる)
12月12日頃から12月16日頃まで。
山では、熊が冬を越すために穴にこもって冬眠を始めます。
しまりす、こうもりなども一斉に冬ごもりに入ります。
大雪 末候 鱖魚群(さけのうおむらがる)
12月17日頃から12月21日頃まで。
鮭が産卵のために生まれた川を遡っていく光景が北国で見られる頃です。
鱖魚(けつびょ)は、中国のサケ科の淡水魚で、鮭と似た魚です。
大雪の食べ物
長葱(ながねぎ)
薬味の代表的な存在の長ねぎ。
紀元前には原産地である中国で栽培が始まっていたというぐらい人類との付き合いの古い野菜です。
日本へも奈良時代にはすでに伝わってきており、長ねぎは貴重な野菜として栽培されてきました。
関東ではねぎの白い部分が、関西では青い部分が好まれるという違いがあります。
そのため関東では、根元に土寄せして白い部分を増やす栽培法が取られています。
白ねぎの品種として知られるものには、加賀ねぎ、千住ねぎ、下仁田ねぎなどがあります。
青ねぎは、京都の九条ねぎが有名ですが、万能ねぎややっこねぎなどの小ねぎも青ネギの仲間です。
ビタミンCが多く、長ねぎの香り成分には血行を良くする効果があるなど、冬の健康維持に役立つ野菜です。
ほうれん草
中央アジアから西アジアが原産地と推定されるほうれん草が最初に栽培したのはペルシアだったと言われています。
シルクロードから中国を経て、ほうれん草が日本に伝わったのは江戸時代の初期のころ。
伊達政宗がほうれん草を食べたという記録が残されています。
ほうれん草には、「菠薐草」、「法蓮草」、「鳳蓮草」といった漢字表記がありますが、名前の由来となったのは「菠薐草」の表記です。
中国でペルシアを「頗稜(ほりん)国」と呼んでいたものが、「菠薐(ほりん)」となし、日本で”ほうれん”と変わりました。
全国で栽培されており、1年中入手できますが、ほうれん草の本来の旬は11月から1月の寒い時期です。
ビタミン・ミネラルが豊富な緑黄色野菜で、根元の赤い部分には骨の健康維持に欠かせないマンガンが多く含まれています。
鮭(さけ)
産まれた川に戻ってきて産卵する習性が有名な鮭。
各地の川で秋から冬にかけて川を遡上する鮭の姿が観察されますが、北海道・東北地方では10月から12月の頃が鮭の遡上シーズンです。
鮭はご存知のように赤い身をしていますが、生物学的には白身魚です。
本来、白いはずの鮭の身が赤くなるのは、エサのプランクトンに含まれるアスタキサンチンという色素が筋肉中に多く含まれるから。
近年、アスタキサンチンの抗酸化作用が注目を集めており、鮭は健康に良いスーパーフードとして熱い注目を集めています。
鱈(たら)
鱈といえば、一般に真鱈(まだら)のことを指しますが、真鱈は大きいものは1mを超えるサイズにまで成長します。
お腹が膨らんでいる真鱈の形から生まれた言葉が、たくさん食べたときに使う「たらふく(鱈腹)」。
もちろん、真鱈は満腹でお腹が膨らんでいるわけではありませんので、真鱈にすれば誤解だと言いたいかもしれませんね。
また「たらこ」は、鱈ではなくスケソウダラの卵巣です。
「真子(まこ)」や「真鱈子(まだらこ)」と呼ばれる真鱈の卵巣は、残念ながらあまり美味しいものではありません。
むしろ高級食材として珍重されるのは、クリーミーなコクのある真鱈の白子(精巣)。
「菊子(きくこ)」や「タチ」、「くもこ」などいろいろな呼び名がありますが、冬ならではの味わいです。
大雪の時期の花・植物
寒椿(かんつばき)
つばきは、木偏に春と書くことからも分かるように早春に咲く花ですが、冬に咲くつばきを「寒椿」は呼ばれます。
寒風や雪の寒さに耐えて咲く寒椿の健気な姿が、冬の季語として愛されてきました。
一方、さざんかの品種の中に「かんつばき」という花があります。
名前に”つばき”と入ってはいますが、花びらが1枚ずつぱらぱらと散る様子から、さざんかであることが分かります。
- ツバキ科の常緑高木
- 開花時期は2月から3月
- 原産地は日本
シクラメン
シクラメンは、大ぶりの花がやや下向きに咲き、花びらが上に反る姿がかがり火のように見えることから、「篝火草(かがりびぐさ)」という和名があります。
日本には明治時代に入ってきましたが、戦後に急速に普及、品種改良も盛んに行われるようになりました。
花の色も赤、白といった定番から、黄色や紫といった珍しい色から香りを持つ品種まで、現在も毎年のように新しい品種が生み出されています。
花の時期も11月から3月までと長く楽しめることもあり、シクラメンはお歳暮としても人気を集めている花です。
- サクラソウ科の多年草
- 開花時期は11月から3月
- 原産地は地中海沿岸
次の二十四節気は冬至(とうじ)です