小暑(しょうしょ)は、二十四節気という太陽の動きをもとにした季節の区分の一つで、黄経105度を太陽が通過する日が小暑の日です。
現在の暦(新暦=グレゴリオ暦)では、7月7日頃から7月22日頃までの約15日が小暑の時期です。
江戸時代まで使われていた旧暦(太陽太陰暦)では、6月・未の月の正節(月の前半という意味)のため六月節小暑とも称しました。
小暑の季節
小暑は、立夏から数えて5番目の夏の二十四節気です。
夏至以降、日照時間は短くなりだしますが、梅雨明け間近となる小暑には本格的な暑さがやってきます。
小暑と次の二十四節気の大暑をあわせた1ヶ月を「暑中」と呼び、暑中見舞いのご挨拶を出す時期となります。
梅雨明け前は大気の状態が不安定なため、激しい夕立や思いがけない集中豪雨に見舞わることがあるので注意したいものです。
七十二候
二十四節気は、それぞれが約15日間ありますが、二十四節気をさらに3等分した七十二候という季節の区分があります。
小暑には、次の七十二候が含まれます。
小暑 初候 温風至(あつかぜいたる)
7月7日頃から7月11日頃まで。
本格的な夏となり、暖かい湿った風が日本列島に運ばれてくる時期です。
小暑 次候 蓮始開(はすはじめてひらく)
7月12日頃から7月16日頃まで。
蓮の花が咲き始めます。
蓮の花が咲いているのは午前中の短い時間だけ。見ごろとなるとさらに短く、早朝から午前9時ごろまでとなります。
小暑 末候 鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)
7月17日頃から7月22 日頃まで。
鷹のヒナが飛べるようになり、そろそろ巣立ちを迎える頃です。
小暑の食べ物
鱧(はも)
京都の祇園祭、大阪の天神祭りに欠かせない鱧。
梅雨の雨水を飲んで美味しくなると言われており、産卵期の8・9月までが旬となります。
鱧という名前の由来としては、
- 食む(はむ)
- 歯持ち
- 「はもはも」とした食感
など、諸説あります。
鰈(かれい)
夏が旬の鰈(かれい)は、日本近海に生息していますが、北の海域で水揚げされる魚です。
ふ化直後は、普通の魚と同じように頭の左右に目があり背びれを上にして泳ぎます。
体長が10mm程度に育つと目の移動が始まります。
40日もたつと目の移動が完了し、目のある側は褐色に、目がなくなった側は白色にと体の色も変化。
白い裏側を下にして、海底をはうように泳ぐようになるという面白い魚です。
ゴーヤ
独特の苦味から苦瓜(にがうり)の名でも呼ばれるゴーヤは、熱帯アジアが原産で、江戸時代に九州・沖縄で栽培されるようになりました。
現在では関東でも栽培されるようになりましたが、沖縄料理でおなじみの夏の野菜です。
ビタミンCも豊富で疲労回復に効果がありますが、苦み成分に
- 胃腸の粘膜を保護
- 食欲増進
- 血糖値・血圧を下げる
といった効果があり、夏バテに向く食材です。
近年では、夏の暑さ対策になるグリーンカーテンとして一般家庭向けの品種が増えています。
素麺(そうめん)
暑くなりだすと食欲が落ちて、のど越しのよい素麺の出番ですね。
素麺は、もとは中国から伝わった「索餅(さくべい)」というお菓子でした。
「七夕の日に索餅を食べると病気にならない」という風習があり、平安時代には宮中では七夕の節句に「索餅」が供えられていました。
江戸時代になって、「索餅」のかわりに「素麺」が供えられるようになりますが、
- 細く白い素麺を糸に見立て、裁縫・機織りの上達を祈願
- 素麺の原料の小麦に毒を消すという言い伝えから健康を祈願
- 彦星と織姫にあやかって、恋の成就を祈願
と、素麺には様々な願掛けがされたそうですよ。
★イラスト
小暑の時期の花
檜扇(ひおうぎ)
厚みのある剣状の葉が順序良く交互に重なった様子が扇を広げたように見えることから檜扇という名がつきました。
祇園祭に欠かせない生花の花材ですが、花よりも勢いのある葉の姿を愛でて楽しみます。
朱色の花が、葉の間から顔をのぞかせるようにして扇のてっぺんで咲いた後に種ができますが、落ちずに葉の上にとどまるというユニークな花です。
黒くて丸い丸薬のような檜扇の種は、射干玉(ぬばたま・うばたま)と呼ばれ、「黒」や「夜」にかかる枕詞として和歌に歌われました。
- アヤメ科の多年草
- 原産地は日本、中国、朝鮮半島、インド
- 開花時期は7月から8月
朝顔
ほとんどの人が、小学生の時に夏休みの宿題で朝顔を育てた経験をお持ちではないでしょうか。
奈良時代末期、遣唐使が持ち帰った朝顔は、当初は薬用の植物として珍重されていました。
江戸時代になると朝顔の栽培が大流行。朝顔市も盛んになります。
花の色も増え、中心に向かって白い筋模様が入る「陽白」なども誕生しました。
花の大きさも大きなものから小さなものまで実に多彩で、日本の夏に涼を演出する花です。
- ヒルガオ科の一年草
- 原産地は熱帯から亜熱帯地域
- 開花時期は7月中旬から10月上旬
蓮の花
蓮は、約1億年前の地層から発見されるほど地球上に古くから存在した植物です。
原産地についてはエジプト説・インド説・中国説などありますが、あまりに古くから存在しているため確定ができていない状況です。
日本においても約7000年前から1万年前の「蓮の化石」が各地で発見されています。
早朝、水辺で白や薄いピンク色の花がゆっくりと開花します。
泥の中から、まっすぐに凛と咲く姿は、「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という言葉が生まれるほど、清らかさの象徴となっています。
- ハス科の多年草
- 原産地は不明
- 開花時期は7月から8月
夕顔
一般に夕顔として知られる花には
- ヒルガオ科の夜顔(よるがお)
- ウリ科の夕顔(実はかんぴょうに加工)
の2種類があります。
夜顔も夕顔も白い花を咲かせますが、
- 夜顔は、夏の夕方に大振りで香りのある純白の花が咲く
- 夕顔は、夏の夜にはかなげな白い花が咲き翌朝にしぼむ
という違いがあります。
源氏物語に登場する夕顔は、はかなげに咲くウリ科の夕顔の方になります。
- 夕顔
- ウリ科の蔓性一年草
- 原産地は北アフリカ
- 開花時期は7月から8月
- 夜顔
- ヒルガオ科の一年草
- 原産地は熱帯アメリカ
- 開花時期は7月から10月
次の二十四節気は大暑(たいしょ)です