春分(しゅんぶん)は、二十四節気という太陽の動きをもとにした季節の区分の一つで、黄経360度を太陽が通過する日が春分の日です。
現在の暦(新暦=グレゴリオ暦)では、3月21日頃から4月4日頃までの約15日が春分の時期です。
江戸時代まで使われていた旧暦(太陽太陰暦)では、2月・卯の月の中気(月の後半という意味)のため二月中春分とも称しました。
春分の季節
春分(しゅんぶん)は、立春から数えて4番目の春の二十四節気です。
春分の日は、太陽は真東から昇り、真西に沈むため、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。
春分の日を中日として、前後3日を含んだ7日間は春のお彼岸です。「寒さも彼岸まで」と言いますが、ようやく春らしい暖かい日が続くようになります。
また、お彼岸は多くの人がお墓参りに行く時期ですね。
太陽が真西に沈む春分の日は、仏教で西の彼方にあるとされる極楽浄土に最も近づける日とされてきました。
この世とあの世が近くなる春分にお墓参りに行き先祖供養をすることで自身も極楽浄土に近づけると信じられてきたのでした。
二十四節気、七十二候2024年(令和6年)カレンダー
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七十二候
二十四節気は、それぞれが約15日間ありますが、二十四節気をさらに3等分した七十二候という季節の区分があります。
春分には、次の七十二候が含まれます。
春分 初候 雀始巣(すずめはじめてすくう)
3月21日頃から3月25日頃まで。
雀のつがいが子育てのために巣作りを始める頃です。
春分 次候 桜始開(さくらはじめてひらく)
3月26日頃から3月30日頃まで。
日本列島を桜前線が北上し、桜の花だよりが各地から届く時期です。本格的な春の到来ですね。
春分 末候 雷乃発声(かみなりすなわりこえをはっす)
3月31日頃から4月4日頃まで。
遠くで雷の音が聞こえだす頃という意味です。季節の変わり目は大気が不安定なため、雷とともに季節外れの雪や雹が降ることもあります。
春分の食べ物
牡丹餅
お彼岸にかかせない牡丹餅ですが、春は牡丹餅、秋はお萩と、季節の花にちなんで呼び分けます。
古来、小豆には邪気をはらう力があると信じられていました。
そこでお彼岸には小豆を使った牡丹餅を先祖供養にお供えしたのが始まりと考えられています。
桜餅
桜餅は、桜の葉の塩漬けで桜色の菓子本体をくるんだ春ならではの和菓子ですね。
桜の葉の塩漬け、桜色という共通点はありますが、桜餅の形状は各地で異なります。
- 関東⇒小麦粉もしくは白玉粉などから作る薄い皮で、餡をはさみ桜の葉をかぶせる。長命寺とも呼ばれる
- 関西⇒道明寺粉を蒸した餅で餡を包み、桜の葉で包む。道明寺餅とも呼ばれる。
最近は百貨店などで両方を買い求めることができるようになりましたので、食べ比べてみるのも春の楽しみですね。
ホタテ貝
貝がら開くと帆を立てた帆掛け船に似ていることが、ホタテ貝という名前の由来です。
また、貝がらが扇のように見えるとして海扇(うみおうぎ)と呼ばれることもあったそうです。
産卵期を迎える冬から春にかけてがホタテ貝の旬ですが、3月頃のものが肉厚で美味です。
春分の時期の花
アネモネ
青、赤、黄、白と、強くはっきりとした色合いの花が美しいアネモネですが、「紅花翁草(べにはなおきなくさ)」というあまり似つかわしくない和名があります。
花の形も一重咲き、八重咲き、丁子咲きと実に多彩です。丁子咲きは、アネモネ咲きとも呼ばれるほど、アネモネを代表する咲き方です。
- キンポウゲ科の多年草
- 原産地はヨーロッパ南部・地中海沿岸
- 開花時期は2月から5月
タンポポ
春の道端を彩るタンポポ。花が終わるとできる綿毛の愛らしさは、俳句の題材としても多く取り上げられてきました。
タンポポは50cmを超す長い根を持っており、アスファルトの裂け目でも花を咲かせることができる生命力が強い花です。
現在、日本で見られるタンポポの8割は帰化種の西洋タンポポが占めるようになってしまいました。
- 花弁の下のガクが花にそって閉じている ⇒ 在来種
- 花弁の下のガクが反り返っている ⇒ 帰化種
というのが見分け方なのだそうです。
- キク科の多年草
- 開花時期は3月から4月ごろ
桜
かつては「花」といえば桜を意味したほど、日本を代表し、日本で最も愛されてきた花だと誰もが口をそろえる花が桜ですね。
平安貴族たちも桜を愛でる花見の宴を開いて、桜をたたえる多くの和歌を残しました。
桜の花は固有種・交配種あわせて約600種類にもなりますが、現在、もっとも多く植えられているのはソメイヨシノ(染井吉野)です。
ソメイヨシノは、大島桜と江戸彼岸の自然交雑種で、明治の初めに散り際の美しさが人気となり一気に全国に広がりました。
気象庁が出す桜の開花宣言の標準木にもソメイヨシノが採用されています。
- バラ科の落葉高木
- 原産地はヒマラヤ
- 開花時期は1月上旬から5月にかけて北上していく
モクレン
あでやかな紅紫色の花と上品な白い花があるモクレンは、寒さに弱く日差しが暖かくなるのを待って開花します。
日本に渡来したのは平安時代以前とかなり古く、花の形が蘭に似ていることから「木蘭」と呼ばれていた時期がありました。
白い花をつけるモクレンは、辛夷(こぶし)と見分けが難しいですが、花びらが厚ぼったく、花が大振りで斜め上向きに咲くのがモクレンです。
- モクレン科の落葉高木
- 原産地は中国、平安時代以前に渡来
- 開花時期は4月
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