小寒(しょうかん)は、二十四節気という太陽の動きをもとにした季節の区分の一つで、黄経285度を太陽が通過する日が小寒の日です。
現在の暦(新暦=グレゴリオ暦)では、1月5日頃から1月19日頃までの約15日が小寒の時期です。
江戸時代まで使われていた旧暦(太陽太陰暦)では、12月・亥の月の正節(月の前半という意味)のためが十二月節小寒とも称しました。
小寒の季節
小寒(しょうかん)は、立冬から始まった冬の5番目の二十四節気です。
小寒と次の二十四節気である大寒の約1ヶ月間は、「寒中」もしくは「寒の内」と呼ばれる1年で最も寒い時期です。
そのため、小寒が始まる小寒の日は「寒の入り」にもあたります。
小寒よりも大寒の方が、寒さが厳しい印象ですが、「小寒の氷、大寒の解く」という言葉があります。
この言葉が意味するところは、大寒よりも小寒の寒さが厳しくなることがあるということです。
小寒は1月の19日もしくは20日までですが、1月の中旬は厳しく冷えこむ年がありますよね。
寒が明けると、早くも暦の上の春、立春を迎えます。
春から始まる本格的な農作業に向けて、小寒の4日目は「寒四郎」として、その日の天候から1年の豊凶を占われましたし、9日目を「寒九」として雨が降ると豊作になると喜ばれました。
七十二候
二十四節気は、それぞれが約15日間ありますが、二十四節気をさらに3等分した七十二候という季節の区分があります。
小寒には、次の七十二候が含まれます。
小寒 初候 芹乃栄(せりすなわちさかう)
1月5日頃から1月9日頃まで。
春の七草の一つ、セリが冷たい水辺で勢いよく育つ姿が見られます。
この時期、セリが育つほど、空気も水も冷たくなります。
小寒 次候 水泉動(しみずあたたかをふくむ)
1月10日頃から1月14日頃まで。
寒さが一年中で最も厳しくなりますが、地面は徐々に温かくなり、泉の氷が解け始めます。
小寒 末候 雉始雊(きじはじめてなく)
1月15日頃から1月19日頃まで。
雉たちの恋のシーズン到来です。
雄が、雌に求愛するケーンケーンという高い鳴き声が聞かれるようになります。
小寒の食べ物
七草がゆ
1月7日は、七草がゆを食べる日である人日の節句です。
年末年始のご馳走続きで疲れた胃を休めるにもちょうど良いタイミングですが、本来は、邪気を祓って1年の無病息災を願うという行事です。
- 芹(せり)
- 薺(なずな):ペンペン草
- 御形(ごぎょう):母子草
- 繁縷(はこべら):はこべ
- 仏の座(ほとけのざ):田平子
- 菘(すずな):蕪
- 蘿蔔(すずしろ):大根
七草がゆを食べる人日の節句は、中国から伝わり、平安時代から宮中行事であったものが、江戸時代に幕府が定める公式行事・五節句として広く知られるようになりました。
蕪(かぶ・かぶら)
かぶは、春の七草では菘(すずな)と呼ばれるアブラナ科の根菜です。
アフガニスタンから地中海沿岸地域が原産地とみられ、ヨーロッパでは紀元前にはすでに栽培されていた痕跡があります。
日本でも弥生時代にはかぶの栽培が始まっており、飛鳥時代には持統天皇が栽培を進めたことが知られています。
現在は日本の各地で多くの品種が栽培されており、
- 京都の聖護院かぶら
- 滋賀の日野菜かぶ
- 山形の温海かぶ
などが有名。
冬がかぶの旬に季節で、甘みとみずみずしさが増します。
主に食すのは根の部分ですが、葉の部分もビタミンB、Cや鉄・カルシウムなどを多く含みますので葉付きのかぶが手に入ったら、捨てずに調理して食べたいですね。
春菊(しゅんぎく)
冬の鍋に鮮やかな緑を添える春菊は、春に花が咲くことから「春菊」という名前になりました。
春菊といえば、独特の苦味と香りが思い出されますが、非常に栄養価の高い緑黄色野菜のお一つです。
特にカルシウムは牛乳以上に多く含まれており、貧血や骨粗しょう症予防に効果の高い野菜です。
かさご
かさごは、日本全国の沿岸地域に生息し、防波堤などでも釣れることから釣り人からの人気も高い魚です。
冬の寒い時期から初春にかけてが、かさごの美味しくなる旬の時期。
頭から背にかけて鋭いとげのある外見からは想像できないほど、白身で上品な味わいが楽しめます。
鮟鱇(あんこう)
かつては、「西の河豚、東の鮟鱇」と、関東を中心に食べられてきたアンコウも、今や旬の冬には全国で食べられるようになりました。
種類の多い魚ですが、日本で食用とされているのは、本アンコウとクツアンコウの2種類のみ。
身はもちろんのこと、皮・えら・胃袋まで食べることができ、捨てる部分は骨と顔だけと、アンコウは実に無駄のない魚です。
中でも、アンコウの肝である「アンキモ」は海のフォアグラと称されるほど濃厚な味わいが楽しめる冬の珍味の一つですね。
小寒の時期の花・植物
万両(まんりょう)
「万両」という名前の縁起のよさから、次に登場する「千両」と並んで縁起物としてお正月の生け花で用いられることが多い植物です。
「千両万両ありがたし」として、万両と千両が入った寄せ植えは大変喜ばれてきました。
夏に白い花を咲かせますが、冬でも青々とした葉と赤い実のコントラストが美しく、庭木として見かけることが多い木ですね。
万両の実は、赤の他に白いものもあり、葉陰に下向きにぶら下がるようにつくのが特徴です。
- サクラソウ科の常緑小低木
- 開花時期は6月
- 原産地は日本、日本、朝鮮半島、中国、マレーシアなど、東アジアの暖帯から熱帯
千両(せんりょう)
万両と同じく、千両もお正月の生け花によく用いられる花材です。
11月頃から色づく赤い実が観賞用として愛されてきましたが、6月から7月頃に黄緑色の花を咲かせます。
万両の実が下向きになるのに対して、千両の実は上向きにつくのが特徴。
赤の他、黄色い実がなるものもあります。
- センリョウ科の常緑小低木
- 開花時期は6月から7月
- 原産地は日本、朝鮮半島、中国、マレーシアなど、東アジアの暖帯から熱帯
葉牡丹(はぼたん)
葉牡丹は、キャベツの仲間であるケールの改良種で、江戸時代に伝わった当初は食用として入ってきたのだそう。
さまざまな植物の品種改良が盛んだった江戸時代に、観賞植物として品種改良が進みました。
結果、丸葉系、縮緬系(ちりめんけい)、大阪丸葉系など、世界でも有数の多様な葉牡丹の品種が誕生したのです。
寒くなるにしたがって紫や白に色づき、冬枯れの庭を彩る植物として、公園や門松の花材として利用されてきました。
最近では小型のものが誕生し、フラワーアレンジメントにも用いられるようにもなっています。
- アブラナ科の二年草・多年草
- 開花時期は4月から5月
- 原産地はヨーロッパ
次の二十四節気は大寒(だいかん)です