啓蟄(けいちつ)は、二十四節気という太陽の動きをもとにした季節の区分の一つで、黄経345度を太陽が通過する日から啓蟄が始まります。
現在の暦(新暦=グレゴリオ暦)では、3月6日頃から3月20日頃までが啓蟄(けいちつ)の時期です。
江戸時代まで使われていた旧暦(太陽太陰暦)では、2月・卯の月の正節(月の前半という意味)のため二月節啓蟄とも称しました。
啓蟄の季節
啓蟄(けいちつ)は、立春から数えて3番目の春の二十四節気です。
啓蟄とは地中で冬を過ごした虫や動物が目覚めて地上にはい出てくる時期を意味します。
個別の漢字として見ても
- 啓 ⇒ ひらく、開放する、(夜が)明ける
- 蟄 ⇒ 冬ごもりのために虫が土の下に隠れる、とじこもる
という意味があり、春の訪れに虫たちが冬ごもりを終える時節です。
春先に落ちる雷は大きな音を伴うことがしばしばです。
昔の人たちは、雷の音に驚いて虫たちが地上に出てくると考えていたようで春の雷を「虫だしの雷」と呼んできました。
この時期、一雨ごとに確実に暖かくなっていきますが、実際に虫たちが目覚めるのは1日の最低気温が10℃を超える4月中旬ごろと1ヶ月ほど待たなければいけません。
二十四節気、七十二候2024年(令和6年)カレンダー
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七十二候
二十四節気は、それぞれが約15日間ありますが、二十四節気をさらに3等分した七十二候という季節の区分があります。
啓蟄には、次の七十二候が含まれます。
啓蟄 初候 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
3月6日頃から3月10日頃まで。
土の中で冬眠していた虫たちが、春の気配に地上に這い出してくる頃です。春に冬眠から目覚める全ての生き物を「虫」と総称しています。
啓蟄 次候 桃始笑(ももはじめてさく)
3月11日頃から3月15日頃まで。
桃の花が咲き始める頃です。花が咲くことを花が笑うと例えた美しい言葉です。
啓蟄 末候 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
3月16日頃から20日頃まで。
冬を越した青虫が羽化して蝶へと変化する頃です。「菜虫」とは大根やかぶなどの葉につく青虫のことです。
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啓蟄2024年はいつ?一目でわかるカレンダーで詳しく紹介!
啓蟄と書いて、 “けいちつ”と読みます。 “虫や蛙が冬眠から目覚めて地上に出てくる”自然現象を指す言葉ですが、季節の区分である二十四節気の一つです。 時期としては3月中旬から下旬。 子どもの頃に住んで ...
啓蟄の食べ物
十六団子
農作業が始まる春になると山の神が下りてきて秋の収穫まで農作物を守る田の神として里に滞在し、収穫が終わる秋になると里を去って再び山の神になると信じられてきました。
これは春秋去来と呼ばれる言い伝えなのですが、
- 山の神が里に下りる3月16日と
- 田の神が山に戻る11月16日
に、十六団子(16個のお団子)を供えるという風習があります。
土筆(つくし)
春には苦みのある山菜が多くありますが土筆もその一つですね。
土筆が生えることを「顔を出す」と独特の表現をしますが、春の訪れを告げる野草です。
ところで土筆は花でも草でもありません。スギナという草の胞子茎がその正体。
雨が降るとニョキニョキと40センチほどにまで伸びて棒状の緑色の葉をびっしりと付ける姿は、土筆からは想像しがたいものがあります。
細魚(さより)
香りがよく、透きとおる白身が美しいさより(細魚)は、春を代表する魚です。
秋まで水揚げされますが、2月から4月が旬。
鋭く突き出た下あごを持っていますが、下あごの先端が赤くなっているものが新鮮である証です。
飯蛸(いいだこ)
頭にびっしりと詰まった卵が飯粒のように見えることが名前の由来である飯蛸は、春の産卵期が旬です。
普通、卵を持つ魚介類は”子持ち”と呼びますが、飯蛸に限っては”飯持ち(いいもち)”と呼ぶのも愉快ですね。
蛸の中でも小ぶりながら、プチプチとした卵の食感が他では得られない春の楽しみです。
鰆(さわら)
鰆は、春の産卵期に沿岸に集まる習性から魚偏に春と漢字で書くようになりました。
鰆の旬は秋から春と長く、関東と関西で美味しいとされる時期が異なります。
関東では脂ののった冬の寒鰆が好まれ、関西では西京味噌につけて焼く春のさっぱりとした鰆が好まれるそうですよ。