年中行事

小満の食べ物と花~初夏の陽射しに植物がすくすくと育つ二十四節気

小満(しょうまん)は、二十四節気という太陽の動きをもとにした季節の区分の一つで、黄経60度太陽が通過する日小満の日です

現在の暦(新暦=グレゴリオ暦)では、5月21日頃から6月5日頃までの約15日が小満の時期です。

江戸時代まで使われていた旧暦(太陽太陰暦)では、4月・巳の月の中気(月の後半という意味)のため四月中小満とも称しました。


小満の季節

小満~紅花

小満は、立夏から数えて2番目の夏の二十四節気です。

小満とは、万物が育ち天地に満ち始めるという意味です。

初夏のまぶしい太陽の光を浴びて、あらゆる植物がすくすくと育つ時期ですね。

また、小満の時期は麦の収穫期にあたります。

かつて、お米をはじめとした穀類が豊作になるか凶作になるかは、農耕社会にとっては死活問題でした。

麦が豊作の年はお米も豊作と言われたことから、麦の穂がつくと安心する(少し満足する)という意味も小満には込められていると言われます。

5月の下旬に入り、徐々に湿度も上がり始め、梅雨の走り雨という日も増えてきます。

2024年蟄虫啓戸
二十四節気、七十二候2024年(令和6年)カレンダー

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七十二候

二十四節気は、それぞれが約15日間ありますが、二十四節気をさらに3等分した七十二候という季節の区分があります。

小満には、次の七十二候が含まれます。

小満 初候 蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)

5月21日頃から5月26日頃まで。

蚕が桑の葉を盛んに食べて成長する時期です。

養蚕に不可欠な桑の葉を日本にもたらしたのは、臨済宗の開祖栄西(1141~1215年)。栄西の存在がなかったら、生糸や絹織物といった産業や文化が日本で育つことはなかったかもしれません。

小満 次候 紅花栄(べにばなさかう)

5月27日頃から5月31日頃まで。

紅花の黄色い花が辺り一面に咲く頃です。

紅花の花には、赤の鮮やかな色素が含まれており、古代エジプトの時代から染料として栽培されてきた歴史があります。

小満 末候 麦秋至(むぎのときいたる)

6月1 日頃から6月5 日頃まで。

麦が熟して金色の穂をつける頃です。

麦は、秋に種をまき、初夏に収穫を迎えます。麦の収穫期を麦秋と呼ぶのです。


小満の食べ物

トマト

真っ赤なトマトには真夏のイメージがありますが、高温多湿を嫌うため初夏と秋から冬にかけてが美味しい季節です。

トマトが赤くなると医者が青くなる」という言葉があるほど、栄養成分が多く、がんや動脈硬化などの生活習慣病予防に効果的な食材です。

赤い色は、リコピンというカロテノイドの一種で、生活習慣病予防はもちろん、老化抑制の抗酸化作用も期待できる注目の栄養素です。

日本には以外にも17世紀半ばに渡来しており、貝原益軒がその著書で「唐ガキ」と紹介しているのが最初の記録です。

トマト

枇杷(びわ)

初夏に橙色の実をつける枇杷は、秋から冬に花を咲かせ、半年の時間をかけて、ゆっくりと果実を育てていきます。

かつては庭先でも見かけることができる身近な果実でした。

近年では、傷みやすいこともあり高級果実に数えられるようになりました。

枇杷の木は、大薬王樹(だいやくおうじゅ)とも呼ばれ、葉っぱは

  • 腰痛や腹痛の幹部にあてる生薬
  • 乾燥させて煎じる枇杷茶

などに用いられてきました。

枇杷

青梅(おうめ)

鮮やかな緑の青梅が店頭に並ぶ初夏。

日を追うごとに黄色く熟していきますので、初夏は

  • 青梅をシロップ煮
  • 小梅の下漬けづくり
  • 完熟梅を梅干しに仕込む

などのの保存食づくり・梅仕事に忙しい時期です。

青梅

サクランボ

サクランボは桜の果実ですが、セイヨウミザクラやスミミザクラなど、観賞用の桜の木とは違う品種から収穫されます。

明治時代に入ってきたセイヨウミザクラは、最初は北海道に移植され、その後東北で広く栽培されるようになりました。

見た目が愛らしく、甘みと酸味のバランスが良く、高い人気のあるサクランボですが、栽培できる地域が狭く生産量が限られることから高価な果物の代表格です。

5月後半から6月にかけてが旬ですが、追熟しないため食べごろをまって収穫し、出荷されていきます。

サクランボ

小満の時期の花

泰山木

泰山木(たいざんぼく)

泰山木は、早春から続けて開花を迎えるモクレン属(マグノリア)の最後を締めくくる花です。

香りのよい純白で大輪の花を咲かせますが、木の高い位置に上向きに咲くため見上げないと花の存在に気付かないこともあります。

日本には明治時代に渡来しました。

  • モクレン科の常緑高木
  • 原産地は北米南西部
  • 開花時期は6月から7月

初夏に淡い紫色の花を咲かせるは、伝説上の霊鳥である鳳凰(ほうおう)が桐の木にだけに止まるといわれる高貴な植物です。

日本の皇室でも菊の御紋に次ぐ高貴な紋章として用いられ、現在も日本国政府の紋章としてパスポートや500円硬貨の意匠に使われています。

また光沢が美しく、防湿・通気性に優れる桐から作られる桐たんすは有名ですね。

昔は、女の子が生まれると嫁入り道具を作る木材となるよう庭に桐の木を植える習慣もありました。

  • ゴマノハグサ科の落葉高木
  • 原産地は中国
  • 開花時期は4月から5月

桐の花

紅花(べにばな)

古代エジプトですでに染料として栽培されていた紅花は、シルクロードを経て飛鳥時代に日本に渡来しました。

鮮やかな黄色い花からは、最初は黄色の色素、その後に赤色の色素が抽出されます。

手間のかかることから、赤色は高貴な人にだけ許される色でした。

江戸時代には盛んに栽培されるようになり、口紅の材料としても珍重されました。

また、種子からとれる油は、ベニバナ油として食用に用いられています。

  • キク科の一年草
  • 原産地はエジプト・中近東
  • 開花時期は6月から7月

紅花

卯の花(うのはな)

各地の山野に自生する卯の花は、卯月に咲く花を略して名づけられたと言われています。

また、幹の中央が空のため、空木(うつぎ)とも呼ばれます。

真っ白な小さな花が集まって房のように咲く愛らしい姿は、夏の到来を告げる花として和歌にも数多く詠まれてきました。

卯の花を腐らせるほどの初夏の長雨を「卯の花腐し(うのはなくたし)」と呼んだり、おからを「卯の花」と呼ぶなど、かつては生活に密着した花でした。

  • ユキノシタ科の落葉低木
  • 原産地は日本・中国
  • 開花時期は5月中旬から6月上旬

卯の花


2025年(令和7年)11月30日の暦

本日は、2025年(令和7年)の334日目です。 2025年 令和7年 乙巳(きのとみ) 二黒土星 11月 霜月 丁亥(ひのとのい) 二黒土星 30日 日曜日 癸卯(みずのとのう) 三碧木星 旧暦10 ...

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