立春は、二十四節気という太陽の動きをもとにした季節の区分の一つで、黄経315度を太陽が通過する日から立春が始まります。
現在の暦(新暦=グレゴリオ暦)では、2月4日頃から2月18日頃までが立春の時期です。
江戸時代まで使われていた旧暦(太陽太陰暦)では、正月・寅の月の正節で、新しい年の始まりとされていましたが、明治6年(1873年)に新暦に移行してからは、日本は新暦の1月1日で新年を祝うようになりました。
ですが、今も立春が新年の始まりだった名残がカレンダーに残されています。
- 茶摘みの最盛期の八十八夜
- 台風の被害が大きくなりやすい二百十日
これらの雑節は、立春を起点として何日目かを表しています。
立春の季節
立春に入ると、暦の上では季節は春に移ります。
立春の日の前日は、厄払いの豆まきを行う節分ですが、節分というのは冬と春を分ける日なのです。
実際には、2月はまだまだ寒さの厳しい時期ですので、”今日から春です”と言われても首をかしげてしまいますね。
「春が立つ」というのは、”春が来た”というよりは、”これ以上寒くならないから、あとは暖かくなるだけ”という二十四節気を生んだ中国の思想に基づく表現なのです。
たしかに2月も中旬に入ると、梅の花が咲き始めますし、お天気のいい日には陽射しの温もりに春を感じることも増えてきます。
二十四節気、七十二候2024年(令和6年)カレンダー
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七十二候
二十四節気は、それぞれが約15日間ありますが、二十四節気をさらに3等分した七十二候という季節の区分があります。
立春には、次の七十二候が含まれます。
立春 初候 東風解凍(はるかぜこおりをとく)
2月4日頃から2月8日頃まで。
東から暖かい春風が吹きはじめ、冬の厚い氷が解け始める時期とされます。
立春 次候 黄鴬睍睆(うぐいすなく)
2月9日頃から2月13日頃まで。
野山でウグイスの美しい声で鳴き始める頃です。
立春 末候 魚上氷(うおこおりをいずる)
2月14日頃から2月19日頃まで。
解け始めて出来た氷の割れ目から、魚が飛び跳ねる姿が見られる時期とされます。
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立春の食べ物
花びら餅
初釜に欠かせない新春の和菓子である花びら餅は、宮中の正月行事「歯固め」で食べられていた菱葩(ひしはなびら)を模した由緒あるお菓子です。
赤い菱餅と白味噌餡、甘く煮たごぼうを丸く平らにした真っ白な求肥で二つ折りにするという現在の姿になったのは、明治時代に入ってからです。
白い求肥とほんのりとした紅色が新春の華やかさにふさわしいお菓子として裏千家が初釜のお菓子として使うようになったことから広く知られるようになりました。
小松菜
ウグイスが鳴く頃に市場に出回ったことから、「鶯菜(うぐいすな)」とも呼ばれていた小松菜は、寒さに強く栽培しやすい青物野菜です。
江戸時代から庶民に親しまれてきた小松菜は、東京のお雑煮に欠かせない存在ですね。
鉄分を多く含む小松菜は、おひたしや和え物などで積極的にとりたい野菜です。
鰊(にしん)
早春の北海道の西岸には、産卵期を迎えたニシンが押し寄せてくるため、ニシンには「春告魚(はるつげうお)」という呼び名があります。
早春に水揚げされたニシンから卵を取りだし、塩漬けにして天日干しにしたものが、あの黄色い数の子。
数の子は、今もお正月の縁起物として欠かせない伝統の食材ですね。
立春の時期の花
水仙
水仙は、気品のある香りと清楚な姿から、お正月の生け花に欠かせない花として愛されてきました。
- ヒガンバナ科の多年草
- 原産地は地中海で、平安末期に中国から渡来
- 開花時期は12月中旬から4月上旬
雛菊(ひなぎく)
雛菊は、白や赤・ピンクなどの花びらと花の中央の黄色のコントラストが春にふさわしい愛らしい花です。
雛菊よりも、最近では「デージー」で親しまれていますね。
「day's eye」(日の目)がデージーになったと言われていますが、名前の由来は花の中央の黄色を太陽に見立てたからだとも、朝に開き夜に閉じる性質からだともいわれています。
- キク科の多年草
- 原産地は西ヨーロッパで、明治時代に渡来
- 開花時期は2月から5月
梅
梅の花は奈良時代に中国から遣隋使または遣唐使が持ち帰ったと伝わります。
香り高い梅の花は、大変愛されたため、万葉集に梅を詠んだ歌が数多く残されています。
- バラ科の落葉高木
- 原産地は中国で、奈良時代には渡来
- 開花時期は1月から3月
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