啓蟄と書いて、 “けいちつ”と読みます。
“虫や蛙が冬眠から目覚めて地上に出てくる”自然現象を指す言葉ですが、季節の区分である二十四節気の一つです。
時期としては3月中旬から下旬。
子どもの頃に住んでいた家は、道を渡ったところは田んぼがあったため虫や蛙は身近な存在でした。
その蛙も実物を見なくなって久しいですが、記憶としては4月の後半にならないと見なかったような気がします。
そんな啓蟄ですが2024年はいつからいつまででしょうか。
啓蟄の日程はもちろん、啓蟄とはどういう季節なのかについてピックアップしてお届けしていきます。
啓蟄の由来と時期
啓蟄とは、日本が太陰暦だったころに、季節の移り変わりを知るために使っていた二十四節気という区分の一つです。
啓蟄の日というのは、この啓蟄という時期の始まる日(節入り日)のことです。
啓蟄という場合、節入り日の当日のみを指すこともありますが、本来は約15日間の期間を意味します。
2024年の啓蟄はいつ?
- 2024年の啓蟄の日(節入り日)は3月5日(火)
- 啓蟄の期間は3月5日(火)から3月19日(火)
年によって1日前後しますが、例年3月6日ごろから始まり、次の二十四節気・春分の前日にあたる3月20日ごろまでが啓蟄の時期になります。
啓蟄にあたる七十二候
啓蟄は、立春から数えて3番目の春の二十四節気です。
地中にもぐって冬ごもりをしていた虫や動物が、春になって目覚めて地上に出てくる時期を表しています。
「啓」という字は、“ひらく、開放する、(夜が)明ける”という意味があり、「蟄」という字には、“冬ごもりのために虫が土の下に隠れる、閉じこもる”という意味があります。
そういえば、時代劇を見ていると、失敗した武士が、殿さまから『蟄居(ちっきょ)申し付ける』とか言われますね(笑)。
“家に閉じこもっていなさい”という処罰ですが、字自体にそういう意味があったのですね。
ちょっと話がそれましたが、啓蟄に対しては、閉蟄(へいちつ)という言葉があります。
意味もまさしく反対で、“冬ごもりのために虫や動物が土の中に隠れること、その時期”という意味です。
啓蟄と言っても、実際に冬眠していた虫などの生き物の多くが目覚めるのは、もう少し暖かくなってから。
蛙に関しては、気温が10℃を超す4月中旬辺りに目覚めるそうです。私の記憶もけっこう確かだったようです(笑)。
二十四節気をさらに5日ごとの季節に分類した七十二候では、啓蟄は次のような季節になります。
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蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
3月6日から3月10日ごろは、地中で冬眠していた虫たちが地表に出てくる時期ですが、虫だけではなく春に冬眠を終える動物全般を指しています。
立春後に初めて鳴る雷を特に「初雷(はつがみなり)」といいます。
この雷の音を合図に、虫や動物が春の訪れを知って地面に出てくるとも考えられていたそうで、「虫出しの雷」とも呼ばれます。
桃始笑(ももはじめてさく)
span class="huto">3月11日から3月15日ごろは、桃のつぼみがほころんで、花が咲き始める時期になります。
昔は、花が咲くことを「笑う」と表現していたのですが、なんとも素敵な表現ですね。
菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
3月16日から3月20日ごろは、厳しい冬の寒さに耐えたさなぎが蝶々となって春の空をひらひらと飛ぶ頃とされています。
大根やカブなどの葉っぱにつく青虫のことを「菜虫」とも呼びます。
キャベツや白菜を洗うと、時々、小さな芋虫が出てきてギョッとさせられることがありますが、あの虫たちも「菜虫」なのかもしれませんね。
啓蟄の時期の雑学
「春は苦いものを食べよ」という言葉があるように、啓蟄の時期は冬の寒さで縮こまっていた人の体も春を迎える準備を始める時期です。
春は、うどやたけのこ、菜の花など、苦味がおいしい山菜が旬を迎えます。
山菜の苦味やえぐみは、ポリフェノールの一種で冬の間に体内にたまった老廃物を排出し新陳代謝を活発にしてくれます。
まさに昔の人の知恵を感じますね。
春秋去来の伝承
農耕が社会的にも産業的にも中心だった時代。
春になると山から山神様が下りてこられて田の神様として里を見守られ、収穫が終わる秋になると再び山に戻られると信じられてきました。
これを春秋去来の伝承と言い、田の神様は地域によって作神様とも農神様とも呼ばれています。
山の神様が里に下りてこられる3月16日と田の神様が山に変えられる11月16日に、「十六団子」を神様にお供えし、その後は家族で食べる風習があります。
どんなお団子か調べてみると、上新粉などで作るシンプルなお団子でレシピを発見しました。
⇒十六団子レシピ
材料も身近で簡単そうなので、一度挑戦してみようと思います!
菰はずし(こもはずし)
啓蟄の日には、松の木から菰(こも)を外す様子が大きな公園などで見られます。
菰(こも)とは、害虫から松を守るために、松の幹に巻き付けるワラのこと。
冬に入る前、10月から11月にかけて菰巻きを行うと、害虫も菰の中で冬を越します。
それを外して、春先に菰を燃やすことで害虫から松を守る手法とされてきました。
ただ最近の研究では、菰巻きに害虫駆除の効果がないことが分かってきました。
そのため、現在では菰巻き、菰外しとも季節の風物詩として行われています。
みつばちの日
3月8日は、みつばちの日です。
全日本はちみつ協同組合と日本養蜂はちみつ協会が一緒に「3(みつ)」と「8(はち)」という語呂から決められました。
ですが、3月上旬は、みつばちが、冬眠から目覚める時期でもあり、啓蟄を意識されたのではと思うのはうがちすぎでしょうか?
最近、みつばちが減っているというニュースも聞きます。
みつばちが生きにくい環境は人間にとっても良くはないはず。
そうした環境にも思いをはせる日としたいですね。
サイフの日
3月12日は、スタイル株式会社が定めた「サイフの日」です。
この日になったのは語呂合わせからですが、春に買う「春財布」は、お金で財布がパンパンに張る(春)として縁起が良いと言われますね。
春ならば4月に買っても春財布だと思っていましたが、ちゃんと期間も決まっていました。
正式には、立春から啓蟄の日までに買う財布が春財布なのだそうです。
それも出来れば寅の日に買って、寅の日に使い出すのがさらに金運のある財布になるのだとか。
寅の黄色の毛皮が黄金色に通じるとして、寅が干支の中では金運の象徴だからだそうですよ。
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まとめ
「啓蟄(けいちつ)」は、昔使われていた季節の区分、二十四節気の一つで、立春から数えて3番目の春の節気です、
年によって1日前後しますが、例年3月6日ごろから始まり、次の二十四節気・春分の前日にあたる3月20日ごろまでが啓蟄の時期です。
ちなみに
2024年は3月5日(火)から3月19日(火)までが啓蟄です。
啓蟄には、地中にこもって冬を過ごした虫や動物が、春の気配に目覚めて地上にはい出てくる時期という意味があります。
啓蟄の時期は、実際にはまだ寒い日も多く、冬眠していた虫などの生き物の多くが目覚めるのは、もう少し後になってから。
蛙に関しては、気温が10℃を超す4月中旬辺りに、ようやく冬眠から目覚めます。
人の体も暖かい春に向けて準備を始める頃です。
うどやタケノコ、菜の花などの山菜が旬を迎えますが、山菜の苦み成分は、ポリフェノールの一種で、冬の間にたまった老廃物の排出を助けてくれます。
「春は苦いものを食べよ」、昔の人の知恵はすごいですね。
- 次の二十四節気は春分です。
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