夏至と書いて、“げし”と読みます。
1年を24つにわける昔の季節の区分、二十四節気の中でも昼間の時間が1年の中で最も長くなる日として知られています。
この日を境に冬至まで少しずつ昼間の時間が短くなっていきます。
そんなが2025年はいつからいつまでなのか、詳しい日程と夏至がどういう季節なのか、お届けしていきます。
夏至の由来と時期
夏至とは、日本が太陰暦だったころに、季節の移り変わりを知るために使っていた二十四節気という区分の一つです。
夏至の日は、この夏至という時期の始まる日(節入り日)のことです。
夏至という場合、節入り日の当日のみを指すこともありますが、本来は約15日間の期間を意味します。
2025年の夏至はいつ?
- 2025年の夏至の日時(節入り日時)は6月21日(土)12時
- 2025年の夏至の期間は6月21日(土)から7月6日(日)
年によって1日前後しますが、例年6月21日ごろから始まり、次の二十四節気・小暑(しょうしょ)の前日にあたる7月6日ごろまでが夏至の時期になります。
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夏至にあたる七十二候
夏至は、立夏から数えて4番目の夏の二十四節気です。
北半球では、1年で最も昼間の時間が長い日が夏至の日です。
たしかに、夏至の時期は夜の7時になっても、空がまだ明るいので、日の長さを実感することができますね。
この日から、また冬至に向かって、少しずつ昼の時間が短くなっていきますが、暑さはこれからが本番です。
長い日照時間に、空気全体がゆっくりと温められて、8月に気温はピークを迎えます。
二十四節気をさらに5日ごとの季節に分類した七十二候では、夏至は次のような季節になります。
乃東枯(なつかれくさかるる)
6月21日から6月25日ごろは、冬至の時期に芽吹いた「靭草(うつぼぐさ)」が枯れる時期になります。
「乃東(だいとう)」とは、靭草の昔の呼び名で、中国で使われている名称(漢名)です。靭草は、また「夏枯草(かこそう・なつかれくさ)」とも呼ばれます。利尿や消炎作用がある生薬として用いられます。
夏の花が色鮮やかな時期に枯れることから、「夏枯草」と言いますが、実際に枯れるのは8月に入ってからになります。夏至の時期は、薄紫の花を咲かせます。
菖蒲華(あやめはなさく)
6月26日から6月30日ごろは、菖蒲(あやめ)が花を咲かせる頃。
アヤメが咲くと梅雨が来ると言われる花です。
アヤメには、とても似ていて見分けが難しい花が2つあります。かきつばたと花菖蒲のことですね。
この3つの花、ともにアヤメ科に属していますので、似ているのも無理はないのですが、アヤメと花菖蒲は咲く時期も同じ夏至の頃。
一方のかきつばたは少し早く5月に花を咲かせます。
見分け方のポイントとしては
- アヤメは、花びらに網目の模様があり、アヤメという名前の由来にもなっています
- 花菖蒲は、花の付け根の色が黄色です
- かきつばたは、花の付け根に一筋の線がはいっています
端午の節句の菖蒲湯(しょうぶゆ)で使うのは、全く違う植物でサトイモ科の薬草になります。
アヤメや花菖蒲のような華やかな花ではなく、穂のような素朴な花を咲かせるのだそうですよ。
半夏生(はんげしょうず)
7月1日から7月6日ごろは、「烏柄杓(からすびしゃく)」が生える時期です。
「半夏(はんげ)」は、烏柄杓の中国での名称(漢名)です。
サトイモ科の多年草で、田畑に生える雑草ですが、毒を含んでいます。
しかし、根茎は生薬として用いられ、吐き気やつわりをおさめる効能があるのだとか。
この時期は、地面が毒を持っていて、烏柄杓の毒は地面の毒を吸うからだと考えられていました。
そのため、烏柄杓が生えると、毒気が立ち込めるとして井戸に蓋をしたそうです。
また、七十二候の「半夏生(はんげしょうず)」から生まれた雑節(ざっせつ)が「半夏生(はんげしょう)」。
同じ漢字で、“ず”が付くか付かないかだけなので、アヤメと花菖蒲以上にややこしく感じられますね。
「はんげしょう」は、夏至の日から数えて11日目を指します。
つまり「はんげしょうず」の始まる日ですね。
農家にとっては、田植を終える節目の日です。
梅雨もそろそろ終わりを迎えるこの時期は、半夏雨(はんげあめ)と呼ばれる大雨が降りやすい時期です。
そうした気候もあって、半夏雨までには田植えを終わせないといけなかったのかもしれませんね。
夏至の時期の雑学
夏至の時期の雑節の半夏生(はんげしょう)には、豊作を祈って食べる物が風習として伝わる地域があります。
- 関西のタコ⇒タコの足が吸い付くように、稲が大地に根付くことを願う
- 奈良県の「半夏生餅」⇒田植えが無事に終わったことを感謝して、田の神様にお供えして、皆で食べる
- 関東の「焼き餅」⇒収穫した小麦から作った焼き餅で豊作を祈願する
- 香川県の「半夏うどん」⇒田植えを終えた半夏生には半日の骨休みをとり、その時に新麦でうどんを作り食べる
昔の人の豊作を願う気持ちが伝わる風習です。
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夏至祭
緯度が高く、太陽の陽射しが貴重な北欧では、各地で「夏至祭」が開かれます。
日本でも三重県二見浦の夏至祭が有名です。
二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)の夏至祭
三重県・二見興玉神社の境内にある夫婦岩。多くの人が伊勢神宮参拝の際に訪れる場所ですね。
夏至の時期、夫婦岩の間から朝日が昇ってきます。
夏至の日には、午前3時30分から夏至祭が始まり、日の出の時刻(午前4時40分ごろ)に合わせて禊神事が始まります。
夏至の頃だけの特別な風景ですね。
北欧の夏至祭
日照時間が短い北欧では、夏至は冬至と並んで大切な日です。
スウェーデンやフィンランドでは、夏至に最も近い土曜日と、その前日の金曜日が祝日となるぐらい大切にされています。
夏至を祝うために、各地の町や村では中心の広場に、樹木の葉や花で飾り付けた柱をおいて、その周りでたき火をたき、一晩中踊りあかします。
また、北欧の夏至祭には、恋や結婚にまつわる言い伝えも多くあります。
- スウェーデン⇒女性が7種類の草花を枕の下に置いて寝ると恋が叶う
- フィンランド⇒女性が7種類または9種類の花を摘んで枕の下に置くと、未来の夫との出会いが約束される
- ロシア・ウクライナ・ベラルーシ⇒夏至祭でかぶっていた花の冠を一緒に川に流して、離れなかったら2人は結ばれる
- リトアニア⇒恋人同士が手を繋いで広場のたき火を飛び越えると、2人は結婚できる
とっても微笑ましいお祭りですね!
夏越の祓(なごしのはらえ)
夏至の時期にあたる6月の末日(晦日・みそか)は、各地の神社で行われる「夏越の祓」の日です。
「夏越の祓」は、12月の大晦日(おおみそか)と同じく、「大祓(おおはらえ)」の日で、半年間の罪や厄災を人形(ひとがた)に託して祓い清めます。
そして、茅草で作った輪をくぐる「茅の輪くぐり」をして、残り半年の無病息災を祈ります。
まとめ
「夏至」は、昔使われていた季節の区分、二十四節気の一つで、立夏から数えて4つ目の夏の節気です。
年によって1日前後しますが、例年6月21日ごろから始まり、次の二十四節気・小暑の前日にあたる7月6日ごろまでが夏至の時期です。
ちなみに
2025年は6月21日(土)から7月6日(日)までが芒種です。
夏至の日は、1年で昼間の時間が最も長い日です。1年で昼間が最も短い冬至の日と昼間の時間を比べると、東京では4時間50分も違いがあります。
梅雨も終わりを迎える時期ですが、徐々に蒸し暑さも増してきます。
いよいよ日本の夏が始まります。
- 次の二十四節気は小暑(しょうしょ)です。
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